理系国語のすゝめ

● 人生の中で書く文章

 

普通の人が一生に書く文章の量は、意外に少ない。FD(フロッピーディスク)で、

数十枚の量である。しかも、そのほとんどが、作家や詩人を除けば、創作的で

自由な作文やというより、誰かに事実や意見を伝える説明的な文章である。

しかし、小中学校の国語教育では、情緒的で個性豊かな文章を書くことに比重が

置かれている。それに比べ、説明的な文章を書く訓練の場は、不足がちだと思う。

 

ところが、大学生になると、試験の答案、課題のレポート、研究論文、報告書、

企画書、エントリーシートなど、説明的な文章のオンパレードである。残念ながら、

多くの学生の文章を読むと、がっかり感が半端ない。しかし、学生が悪いわけでは

ないように思う。それまでに、そういう教育を余り受けていないだけなのだ。

 

ちょっと皮肉を込めて、そういう説明的文章に重点を置いた国語を、

理系国語とか情報系国語とか読んでおく。実際には、文系でも必要な分野で

ある。そもそも文系理系という分け方が変なので、業務国語というのが

いいのかな。

 

● 理系国語の特徴

 

・ 効果的で効率的な情報伝達のための技術

・ 客観的で論理的な文章表現

・ 研究者や技術者が習得すべき技術

   (理系に限るわけではない)

・ 本質的な部分は共通、個々の言語に依存しない

 

文学的才能や芸術的センスは特に必要ない

・ 誰でも訓練すれば、ある程度は身に付く

 

・ ビジネスマンの業務にも必要となる

・ 家族や友人との会話や手紙には使わない

   (変な人・冷たい人と思われるかも)